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東方アレンジを制作している・してみたい人向けのブログかもしれない。

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東方アレンジ完成までの過程、全部見せます その1―構想を練る 解説編

 

 

この記事は、こちらの動画のテキスト版です。

 内容はだいたい同じですが、

動画内ではできなかった補足説明を赤字

動画の方を参照にして欲しい内容を青字

表記しているので参考にしてください。

 

 

 

このシリーズの概要について

 

よし、今日こそ曲を完成させるぞ!

まずはDAWを起動して…

 

f:id:KeisukeKnight:20200711162647p:plain

で、何したらいいの…?

って経験、ありませんか?

 

 

このシリーズでは、「ゼロ」から…

つまりどんな曲を作るか全く決めてない状態から

実際に曲が完成するまでの過程を解説付きで実演していきます。

 

また、曲作りが未経験の方で

 

・理論などの知識がない

・有料ソフトを持ってない

 

という方でも、なんとなく過程を真似して作れば

自分の作りたい曲を完成させられる。

そんな動画を目指していきます。

 

…と、この動画の制作時はそう考えていたのですが

実際は未経験者向けというよりも

思うような曲が完成させられないと悩む初心者の方や、

もっと曲のクオリティを上げたいと考える中級者の方向けかもしれません。

未経験者の方向けに特化した記事の方も現在準備中なのでそちらもお待ちください。

 

 なお、今回作る曲は2019年の春期例大祭にて頒布されたCD

収録するつもりで作っています。

このCD、ほかの曲は有料プラグインをバリバリ使って制作しているのですが

今回作る曲に限り有料プラグインを使用せずに制作を行います。 

 

なので、この講座で「無料ソフトだけでも良い曲が作れる」

ということを証明できたらいいなと。

また、曲作りは敷居が高いというイメージを

少しでも払拭できたらいいなと思ってます。

  

 

なお、動画タイトルの通り東方アレンジを制作していきますが、

解説する知識や考え方はオリジナル曲を作る際にも使えるものが

大部分を占めますので、ボカロ曲などを作りたい方も参考にしてみてください。

 

※注意点として、私自身は音楽について人から教わった部分もあれば独学で身に付けた部分もあります。

誤った用語や知識などを使わないように気を付けますが、もしあった場合はご容赦ください。

 

また、ここで解説するやり方が全てではないことは予めお伝えしておきます。

他の人がどんな方法で曲制作しているかは存じませんので…

みんなもっと公開してほしい。

 

 

 

講座全体の流れ

 

講座全体の流れを確認します。

 

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大きく分けると

・構想編

・作曲編

・編曲編

・ミックス編

・仕上げ編

という感じです。

 

各項目についての補足は次回行います。

まずは最初の「構想編」に進んでみましょう。

 

 

 

構想を練るときに決めておきたいこと

 

それでは、まずは作曲用ソフトを開きます…と言いたいところですが

すみません、今回使うのはメモ帳だけです。

最初は特に音は出さずに構想を練っていきます。

 

というのも、どんな曲を作るか固めてから作り出さないと途中で迷走しがち。

ゴールの見えない迷路を彷徨っているようなもので、やる気もなくなりやすいです。

 

この動画では「曲を確実に完成させること」を目標としています。

なので、まずはゴールの位置を設定するために

どんな曲を作りたいのかを具体的に書き出しておきましょう。

 

 

 

では、構想を決めるといっても具体的に何を決めればいいのでしょうか?

色々ありますが、ここでは大きく分けてこの4点を考える方針で進めます。

 

・原曲

・イメージ+展開

・参考曲

・その他

 

ひとつずつ解説していきます。

 

 

 

原曲

 

どの曲をアレンジしたいのか、です。

東方アレンジを作りたいとなれば、

これを決めておくというのはまぁ当然ではありますね。

 

 

 

イメージ+展開

 

ここでのイメージは、その曲の持っている

世界観やストーリー、テーマといったもの全般を指します。

 

 

 

抽象的な内容なので、具体的な例を挙げて説明します。

 

私の自作曲に

あなたのしごとの好奇心 ~ INTERVIEW of INTERVIEW

(原曲…あなたの町の怪事件/年中夢中の好奇心)

というアレンジがあります。

 

手前味噌となりますが解説に都合が良いので、

この曲を用いて説明します。

動画内のBGMとしても用いているのでそちらも合わせてご覧ください。

 

 

この曲は「チルノから見た射命丸文の姿」をテーマとした文チル曲です。

快活に取材する文の姿に憧れてこっそり尾行するチルノ

というイメージを目指して制作しました。

 

このイメージに合わせて、原曲は

あなたの町の怪事件」と「年中夢中の好奇心」を選択。

曲のイメージについて、何となくおわかり頂けたでしょうか。

 

 

この辺りは曲を作る際に考えているという経験者の方もいると思います。

ただ、私の場合これだけだと、いざ作曲し始めたときに

サビは作れたもののそれ以外が全く作れない

という状態に陥る経験が多かったです。

 

 

そこで、"イメージ+展開"の展開について考えておきたいです。

イメージを物語でいう「あらすじ」に例えるなら、

展開は物語の「プロット」という印象が近いでしょうか。

 

曲というものは、余程短い曲でない限り

Aメロ→Bメロ→サビ→…のように

時間と共に展開され、変化していきます。

 

ということは、先程説明したイメージも、

こうした曲の展開に合わせて変化しているはずです。

 

変化しているものは場所だったり、登場人物だったり、人物の心情だったり…

色々ありますが、必ず何かが変わっていきます。

 

例えば、

原っぱにただ寝転がっているだけ

というイメージがあるとします。

 

場所も人物も心情も変化しないかもしれませんが、

時間は経過しているので「朝→昼→夕方→夜」と雰囲気が変化していきます。

 

こうした色々な変化を曲の「展開」として考えておきたいわけです。

 

 

こちらも先ほどの自作曲を用いて具体例を見てみましょう。

文を尾行するチルノというイメージがどのように展開されていくのか。

こんな感じになります。

 

なお、ここは曲に合わせての解説なので動画の視聴をオススメします。

 

快活に飛び回り、テンポよく取材する文

その様子を影から眺めながら

「取材ってなんだろう?」

って感じではてなマークいっぱいのチルノ

よくわかんないけどかっこいい!ってなってそうなチルノ

なお備考はとっくに文にバレてる模様

「一緒に行きませんか?」

文に誘われて取材についていくチルノ

初めてのことがいっぱいで戸惑ってそう

戸惑いつつもとても楽しそうなチルノ

一緒に楽しくしてそうな文

尊い

 

 

いかがでしょうか。同人誌のプロットという感覚に近いかもしれません。

 

このイメージの展開がどこまで実現できたかはさておき

少なくとも製作中にこうしたことを考えていた、

ということを実感して頂ければ、と思います。

 

ただ、最近になってイメージ+展開を考えるときは

このような文章にするよりも、参考曲の項で後述するような

単語の羅列にした方が負担が少ないと思うようになりました。

 

今回の例でいうなら

快活→疑問→憧れ→高揚感→戸惑い・楽しさ

のような感じ。

 

この辺りはやり易いと思う方法を模索していきましょう。

 

 

こうしたところまで考えておくと

曲を作る際に目的地を見失うことも少なくなるはずです。

 

しかし、こうしたイメージも

実現のさせ方がわからなければ意味がありません。

 

目的地がわかっても生き方がわからないと

結局、迷子になってしまいます。

 

そこで次の項目。

 

 

 

参考曲

 

リファレンスと呼ばれることもありますが、

資料、教科書のような役割を果たす曲のことを指します。

先ほどの「イメージ」の実現のため、これをあらかじめ決めておきたいわけです。

 

なお、「原曲」と、この「参考曲」は全く違います。

絵に例えるなら、

原曲を決めるとは描くキャラを決めるようなもので、

参考曲を決めるとは構図や絵柄を参考にしたい絵を決めるようなものです。

 

 

では、この「参考曲」をどう決めればいいのでしょう。

 

これは、

目指しているイメージを一部でも実現させている曲を選ぶようにします。

 

かなり漠然としてるので、もう一度先ほどの自作曲を例に挙げます。

この曲を制作するときに、参考曲として選んだ曲はなんでしょう。

複数あるのですが、ここではそのうち4曲紹介します。

 

 

グリーングリーンズ

 

f:id:KeisukeKnight:20200711164054j:plain収録:星のカービィ(1992年 任天堂

星のカービィを代表する曲です。

冒険高揚感かわいらしいチップチューンの音色を参考にしています。

 

 

 

・ヘイホーのおもちゃ箱

 

f:id:KeisukeKnight:20200711164106j:plain収録:マリオストーリー(2000年 任天堂

マリオストーリーのステージ4BGMです。

子どもがはしゃぎ回るようなドタバタ感を実現するため作曲の際の参考に、

また、かわいらしさ溢れる音色も参考にしています。

(具体的にはマリンバシロフォン、ピチカートなど)

 

 

・トイボックスギャラクシー

 

f:id:KeisukeKnight:20200711164100j:plain収録:スーパーマリオギャラクシー(2007年 任天堂

スーパーマリオギャラクシー収録のBGMです(テレビCMのBGMとしても)

わくわくする世界を冒険するイメージと、子ども心に抱いた憧れの気持ち、

これらを参考にしています。

 

 

・甲論乙駁

 

f:id:KeisukeKnight:20200711164050j:plain

収録:東方緋想天 〜 Scarlet Weather Rhapsody.(2008年 黄昏フロンティア上海アリス幻樂団

 

最後は東方緋想天収録、ストーリーモードの会話BGMです。

平和ながらもちょっぴり楽しくなりそうな日常のイメージを参考に、

あとは木琴の音色も参考にしました。

 

 

 

と、こんな感じで参考曲を事前に決めてから制作しました。

 

私個人が任天堂のゲームに大変お世話になっているので、

参考曲の選択に影響が出ていることがわかりますね。

 

同じイメージの曲であっても

別の人が参考曲を選ぶと全く違う曲目になると思います。

曲制作者の個性が表れるところでしょう。

 

 

また、参考にしたイメージを言語化してみると

・冒険

・高揚感

・かわいらしさ

・子ども

複数回、現れている単語がいくつかあります。

 

先ほどお話しした

目指している曲のイメージ(快活に取材する文の姿に憧れてこっそり尾行するチルノ)

との関連性が見えてくるかと思います。

 

 

なお、「他の曲を参考にしたらオリジナリティが失われないか」

という懸念を持つ方がいるかもしれません。

 

確かに参考曲が1つだけだと

オリジナリティに欠けるように感じられることもあるかもしれません。

 

ですが、今の例のように参考曲を複数決めておくと、

それらを組み合わせてできた曲は強いオリジナリティを持ちます。

※この手法、実際に楽曲制作の受注を受けているプロが

未経験のジャンルの曲を制作する際に用いることもあるそうです。

 

なので、参考曲は複数、用意しておきましょう。

最低でも3曲、多ければ多いほど良いと思います。

 

 

 

その他

 

これはそのままですね。今まで話したこと以外に

やりたいこと、決めておきたいことがあればメモしておきましょう。

 

なお、ここまでジャンルについてお話しませんでした。

私の場合、

参考曲みたいな感じの曲にする

という感じで作ることがほとんどで

事前にハッキリとジャンルを定めておくことは少ないです。

その結果、どのジャンルに属するかよくわからん曲が完成することも多々。

 

もし「このジャンルの曲を作りたい」と ハッキリ決まっているのであれば

そちらもメモしておきましょう。

 

 

 

まとめ

 

以上、構想を練るときに決めておきたいこと

原曲・イメージ+展開・参考曲・その他

についての解説でした。

 

ここまでご覧頂きありがとうございました。

次回は、実際に本シリーズを通して制作する曲の構想を練っていきます!

 

お楽しみに!